相続をするにあたっては、遺留分という概念を理解しておく必要があります。すなわち、配偶者や子供・両親には、遺留分といって相続財産のある一定割合を貰う権利があるということです。
ですから、遺言書作成によって他の人に財産分与を行うと定めていたとしても、配偶者や子供・両親にはこのような権利があって保護されているのだということを理解しておく必要があるのです。
でなければ、せっかく遺言書作成を行っていても無駄骨に終わってしまうことにもなりかねません。ですから、自己流で遺言書を作成するのではなく、公証人役場に行ったほうがよいと言えます。
自筆の遺言書作成では、紛失などに気をつけなければいけません。 公正証書遺言と違い、自筆証書遺言は費用も掛けず簡単にできる事が最大のメリットですが、遺言書作成をしてから長い期間が経った場合に、遺言書自体をどこに保存したか分からなくなったり、遺産分割で有利にするために悪意を持って破棄されたりする可能性があります。
もちろん、悪意の破棄が判明した場合は、その者は相続の欠格となり相続権を失いますが、自身の幼い子供に代襲相続させる事により相続財産を得ようとするケースもないわけではありません。 手軽な自筆証書遺言で遺言書作成をする場合は、そうした点を考慮に入れて保存するようにしましょう。
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法定相続人が相続財産を全く貰えず、生活が困難になってしまうことを防ぐために、法定相続人に最低限の財産を相続させる権利を確保したのが、遺留分です。ですから、遺言書に妻に遺産を全て渡すように記したとしても、子どもなど他の法定相続人がいたら、法律で決められた分はその法定相続人が相続することとなります。
では、もし法定相続人に財産を渡したくなくて死亡前に生前贈与を行っていた場合はどうなるのでしょうか?被相続人が生前贈与した財産がある場合、被相続人の相場開始前一年間に贈与されたものに限り遺留分減殺請求の対象となります。しかし、贈与者である被相続人と贈与を受け取る者とが共に、法定相続人に損害を加えることを知って贈与をしたとき、相続開始前の一年以内に贈与された財産以外の財産も遺留分減殺請求の対象となります。
遺産相続の際にはさまざまなことが問題になり、その中でも特に話題になりやすいのが「故人への貢献度によって遺留分が増えることがある」と言うことです。 実際には遺留分というのは法律によって規定されている部分ですから、これだけでは間違いなのですが、故人の財産の増加に対して明らかな貢献があった場合に相続の取り分が増えると言うのは本当です。
これは「寄与分」と呼ばれており、例えば被相続人が亡くなった時に5000万円の有価証券があり、その投資の顧問として長男が滅私奉公していたことが明らかだということであれば、それは長男が受け取って良いと判断されるのです。
ただ実際にはこのように分かりやすいケースだけではなく、実際に故人の手伝いをしたり財産を増やすことに寄与していたとしても、それを明確に金額にできることはほとんどありません。 従って寄与分は存在しているものの、それによってどれくらい相続が増えるかというのは遺産分割協議の中で相続人が話し合って決めることになるでしょう。
被相続人が亡くなった場合、遺言があってそれが適正なものである場合には、法定相続分よりも優先されるため、不平等な遺産相続になることがあります。そのため残された家族の生活が立ち行かなくなる恐れがあり、それを防ぐために「必ず受取ることのできる最低限度の相続財産を得る権利」が法律によって決められています。
これが遺留分と呼ばれるもので、その権利は代襲相続人を含む子をはじめ直系尊属と配偶者に限られます。故人の兄弟には認められていません。それぞれの相続人が貰える遺留分の割合については民法に定められています。直系尊属のみが相続人であるケースでは、被相続人の財産の1/3。その他のケースでは、1/2と定められています。具体的に見てましょう。Aさんが亡くなり法定相続人として直系尊属である父Bと母Cがいた場合、法定相続分は父A母Bとも1/2ずつですが、直系尊属のみが法定相続人である1/3のケースに当たるので、父Bと母Cが実際に貰えるのは、法定相続分に遺留分の割合を掛け算して1/2×1/3=1/6ずつということになります。
別のパターンで、Aさんが亡くなり法定相続人として配偶者Bさんと子供Cさんと子供Dさんがいたという場合、法定相続分は配偶者Bさんが1/2、子供のCさんとDさんがそれぞれ1/4ずつとなります。直系尊属のみが法定相続分である場合「以外」の1/2のケースに当たりますから、妻Bさんは1/2×1/2=1/4、子供二人は1/4×1/2=1/8ずつという計算になるのです。
遺言書作成については、記載方法や記載内容が法律で定められており、正しく作成されていることが重要となります。遺言書は、資産を持つ方にとっての意思表示が可能となる手段でもあり、遺言書の有無によって、残された家族などへの遺産相続方法が決定されます。
相続人の間で大きなトラブルを発生させないためにも、遺言書の作成は正しく行いたいものです。弁護士や支障書士などの法律専門家へ相談することも可能であり、正しい作成方法を素早く知ることができます。相談業務が無料で取り扱われていることも多いため、気軽に利用尾できる存在でもあります。